桜吹雪~運命~
「三神村ですか?」
「ブッブー。
三神村にはあたし、行ったことないの。
気が付いたら、ばぁちゃんの家にいたって感じ」
「気が付いたら?
…記憶喪失ですか?」
「…多分ね」
記憶喪失じゃないよ。
ちゃんと現代での記憶あるし。
…初恋の男の子との思い出も、ちゃんと覚えているし。
「そうでしたか…。
小町さんも小町さんで、大変なんですね」
「あたしより遠矢くんが大変じゃない?
だって三神村から逃げてきたんでしょ?」
「……ええ、まあ」
思い出したくない出来事なのか、遠矢くんの反応は鈍い。
「ごめんね。
思い出したくないよね。
弟さん…殺されたんでしょ?」
「え?…ええ、まあ」
「弟さん、あたし見てみたかったなァ。
遠矢くんに似て、イケメンなんでしょうね」
「……」
遂に黙ってしまった遠矢くん。
…本当、悪いことしたな。