桜吹雪~運命~
桜が…あたしみたい?
「小町さんは、とても…優しいですから」
「そんな…」
あたしは優しくない。
優しかったらって、何度も悔やんだことはある。
「あたしは…優しくない」
「そうですか?」
「優しい人は…アンナコトするはずない」
「アンナコト…?」
遠矢くんはあたしを不思議そうに眺めた。
あたしが視線を合わす。
…遠矢くんの手が、あたしの手を握る。
「遠矢…くん……?」
遠矢くんの優しい掌に、ほっとする。
「小町さんにも、色々なことがあったんですね…」
あたしを見つめる遠矢くんの目は、同情の目じゃない。
かと言って、あたしを憐れむような目でもない。
まるで…
自分と重ね合わせるような目だ…。