桜吹雪~運命~
☆☆☆
「三神王司に会った!?」
「大丈夫だったんかい小町ちゃん!」
「三神王政を匿ったり守ったりすると殺すとは言われたけど、何もしなければ何もしないと思うよ」
その日の夜。
あたしはばぁちゃんと、夕ご飯を食べに来ていた紅葉さんに、王司さんに会ったことを伝えた。
「ねぇばぁちゃん、紅葉さん。
三神王司って…何者なの?
三神王政の家老って言っていたけど…」
黙ってしまったばぁちゃんと紅葉さんの代わりに、あたしが話している間ずっと無言だった遠矢くんが、話してくれた。
「99代目三神王政には、5人息子がいたんです。
息子の中から、100代目三神王政を決めるとなって。
99代目は死ぬ間際、遺言状に、どの息子を100代目三神王政にするか書いたんです。
遺言状に残されていた文章により、100代目は末の息子になったんです。
三神王司は四男で、兄弟の中でも特に優秀でした。
100代目三神王政は王司だと言われていたほどです。
ですが100代目は五男を選んでしまった。
100代目になるつもりだった王司は、悔しかったでしょうね」
そんな複雑だったんだ…。
だからあんなに、冷たい瞳や凍てついた視線を持っていたんだ。
まさか弟に取られるだなんて…。
辛かっただろうな…王司さんも。