桜吹雪~運命~
「遠矢くん、今足を怪我しているんです。
だから、連れて来るのは無理ですね」
「…小町」
「ばぁちゃん?」
「連れてきなさい」
「ばぁちゃん…ッ?」
ばぁちゃんはあたしの耳元に口元を寄せた。
「おめーさんもわかるだろ。
今、あの人は怒っている。
…下手したら、小町が殺されるぞ」
「……ッ」
「連れてきなさい。
小町が行かないのなら、わしが行く」
「駄目。あたしが行く」
あたしは王司さんに待つよう言い、家へ向かった。
そうだ。
王司さんは、殺すことを躊躇わない三神家の人間だ。
逆らったら待つのは…死。
死んでしまったら、現代になんて帰れないし、初恋の男の子にも会えない。
ルカのお墓参りにも行けない。
…生きなきゃ。
急いであたしは家の中に入る。
遠矢くんはあたしを見て、いつも通りふんわりと微笑んだ。