桜吹雪~運命~
王司さんはニッコリ、微笑んだ。
「帰りましょう?王政様」
「兄上?」
「確かにわたくしは、あなたを許せません。
出来ることなら、今ここであなたを殺したい。
…ですが、そうしたら殺されるのはわたくし。
それだけは勘弁してほしいのでね」
「兄上…」
「王司、です王政様。
2度と、それで呼ばないでいただけますか」
「……ッ」
有無を言わせぬ王司さんの口調に、遠矢くんが言葉に詰まる。
「王政様、帰りましょう」
「…嫌です」
「王政様?」
「僕は、この村にいたいです。
小町さんと一緒にッ…」
遠矢くん…。
あたしの目から、涙がこぼれた。
「…それは出来ません」
「何でですか」
「後ろをごらんなさい。
…小町さんも」
あたしも?
あたしは振り向いた。