桜吹雪~運命~
「おや、気が付いたかい」
ガラッと音がし、しゃがれたおばあさんの声がする。
あたしは声のした方向を見た。
え?
あたしの思考は停止した。
おばあさんは、白髪交じりで、腰の曲がった、どこにでもいそうな容姿をしていた。
でも、その服装が…可笑しい。
洗濯しすぎて色素が薄くなったみたいな赤色の着物を着ているのだ。
しかも、豪華そうな着物じゃなくて…。
歴史とかに出てきそうな庶民が着ているような、安物着物。
てか、何で今の時代に、こんな安物着物を着ているんだ?
靴も古そうな下駄だし…。
驚いたのは、おばあさんの洋服だけじゃない。
あたしが着ている服も、あたしがいた家も、今とは思えない造りをしていた。
あたしが着ているのは、おばあさんが着ている服に似た、安物着物。
色もおばあさんのより大分色素が抜けているみたいだ。
家も、本当歴史に出てきそうな、庶民の家。
ガスや水道などはなく、あるのはかまど。
お釜が置かれており、下には薪なんかをいれそうな穴が開いている。
どういうこと?
こんな家、今の時代存在するの?