桜吹雪~運命~
第4章
遺言書
☆遠矢side☆
後ろから、村長さんの必死な声が聞こえる。
小町さんの泣き声が聞こえる。
離れても、村人の視線が痛い。
小町さんの泣き叫ぶ声が聞こえる。
「しょうがないですよ。
今のが現実であり、あなたの宿命。
いずれ慣れますよ」
兄上は、いつになったら僕に敬語を使わなくなるんだ。
僕は無視した。
こうなったのも。
こうなる運命だったのも。
こんな現実を知ったのも。
小町さんの泣き叫ぶ声を聞いたのも。
全て、あの人の遺言書のせいだ。
最初はあの人を慕っていたけど。
信じていたけど。
…もう、信じたくない。
あの遺言書さえなければ、
僕はどうなっていたのだろうか……?