桜吹雪~運命~
「どういうことだよ!
何で遠矢が100代目になるんだよ!」
「ふざけるな。
どこの奴かもわからない遠矢に任せられるかよ」
「おい上ノ宮(かみのみや)。
お前、父上の家老だろ」
「ちゃんと調べてくれないか。
遠矢が100代目なんて、俺らは許せない」
99代目三神王政こと父上が残した遺言書が、父上の家老であった上ノ宮さんから発表された時、父上の長男・次男・三男・四男は抗議した。
そんな中、黙り込んでいたのが、僕と五男である、王司の兄上だ。
「見苦しいですよ兄上方。
遺言書に書いてあるでしょう。
書いてあることは真実だ、とね」
「はぁ?
王司、お前はそれで良いのかよ!」
「お前が1番頑張っていたじゃねーか」
「俺らの中でも1番成績良くてよ」
「父上の跡を継ぐのはボク!って言っていたじゃねーか」
「…兄上たちは知らないんですね。
わたくしより、遠矢の方が、優秀でしたよ」
…いつもそうだった。
いつも、兄上は、僕を庇ってくれた。
他の兄上は知らなかっただろうな。
…王司の兄上が、その夜何も食べずに泣いたことを。