桜吹雪~運命~
☆☆☆
「…ごめんね、遠矢」
「嫌…やめ、て…お母様……ッ」
「遠矢、すまない…」
「お父様ッ…嫌だッ……。
僕……死にたく……ないよっ……ッ!」
僕の記憶の中にある両親との思い出と言えば、これだけ。
思い出と言うには、間違っているかもしれない。
お父様は、涙を流しながら、苦しむ僕を見つめる。
しかし、助けようとしない。
お母様は、同じく涙を流しながら、僕の首を絞める。
力は強くなるばかりで、弱まることを知らない。
意識を失い、目覚めた先は、このベッドの上だった。
横には、白髪交じりの知らない男の人がいた。
「大丈夫かい遠矢くん」
「………」
「もう安心して良いよ。
お父様もお母様も、ここにはいない」
知らない男の人の口調から、お父様とお母様が死んだことを知った。