桜吹雪~運命~








「しかし、何をしているんだ…遠ノ介(とおのすけ)は」



遠ノ介は、僕のお父様の名前。




「…お父様を…知っているんですか……?」

「え?
ああ、知っているよ。
アイツは、ワシの剣の先生だ」

「………」

「ワシの名前は、三神統頭。
三神家のこと、ご存知かな?」

「…知っています。
この村で、凄い力を持っているんでしょう?
お父様、いつも…話してくれた」

「お前のお父様は、三神家に仕える者の1人。
三神家の、ワシを含む奴に剣の技術を教えてくれた。
剣だけでなく、弓矢や刀など、様々なものをな」

「………」

「お前のお母様は、それはもう立派な方じゃった。
お父様を、支えてくれる、良き理解者じゃった。
…なのに、何故あんなに嬉しそうに話していた遠矢くんを……ッ」




その後わかったことだが。

お父様は三神家の人たちに色々な武器の技術を教える先生だったが、病に侵された。

お母様がお父様の病を治すため働いたがお金はなかなか集まらず、絶望の果て両親が選んだ道は、一家心中だった。

お母様は僕が気を失ったのを死んだと思い、両親揃って首つり自殺をしたそうだ。

三神家に教えに来ないお父様を心配した上ノ宮さんが家に来て、一家心中が発覚した。





行く宛てのない僕は、三神家の養子となった。

元々の名字美神を捨て、僕は三神遠矢となった。



三神という名字になる。

それは、兄弟の中で争い続けられている三神家当主争いに巻き込まれることを意味していた。








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