桜吹雪~運命~
「しかしまあ驚いたさ。
畑仕事をしていて戻ろうとしたら、おめーさんが倒れているんだからよ。
心配するな。
医者に診てもらったけど、病気じゃないらしーぞ」
おばあさんは「よっこいしょ」と座る。
「おめーさん、どこから来たんだ?」
「え?
あたし、高ノ宮(たかのみや)から来ました」
「たかのみや?」
「はい。
桜広場に遊びに行ったんです」
「さくらひろば?」
「ほら、今日4月1日ですから。
桜祭りとか開かれている…」
「?」
おばあさんは首を傾げるばかり。
…あたし、変なこと言っただろうか?
「あの、ここって何市ですか?」
「何市?」
「はい」
「…?」
え?
市の名前もわからない?
どういうこと!?
「あの、ココは…どこですか?」
埒が明かない。
あたし、小さい頃から住んでいるから。
高ノ宮地域に関しては、結構詳しいんだ。