桜吹雪~運命~
「ばぁちゃん。
海鳴村の中なら、自由に行動できるよね」
「そりゃそうさぁ」
「あたし、出掛けてくる」
「…気ィ付けろ」
どこへ行くかばぁちゃんは聞かない。
きっと、ばぁちゃんはわかっている。
あたしが大人しく遠矢くんを待つことが出来ないこと。
「…何言っとんのじゃぁ小町ちゃん」
思った通り、海鳴さんは驚いていた。
そりゃ当たり前の反応だろう。
予測可能だったため、あたしも驚かなかった。
「お願いします。
無茶なお願いだとは承知しています。
…あたしを、三神村まで連れて行ってください」
そう。
あたしは村長さんに、海鳴村から出してほしいと頼んだのだ。
だってきっと、バリアを貼るよう言ったのは村長さん。
なら、村を守る村人にお願いするのではなく、直接村長さんに頼み込むことにしたのだ。