恋するオトコのクリスマス
ふたりより先に付き合いのあった瞬の弟と美夏の妹も、ふたりの半年後に授かり婚となった。
弟妹夫婦は地元で暮らしており、双方の両親とも仲よくやっている。

結婚前は頼りなかった弟だが、今ではしっかりしてきて、瞬も心強かった。


「でも、お義父さんやお義母さんのほうから、愛里のことを預かりたいって言ってくれたのは……瞬が頼んでくれたんでしょ?」


微笑みを浮かべたまま、美夏は瞬の腕を取る。


「ふたりきりのデート……計画してくれて、ありがと」


ほんの少し身体を寄せ、甘えるように付け足した。


「やめろよ、こんなトコで」

「お礼、言ってるだけよ」

「いや、だから……ディナーをキャンセルして部屋に飛び込みたくなる。頼むから、マジでやめてくれ」

「瞬のエッチ」


美夏は耳まで赤くする。


「はいはい。もっとエッチになるのは、腹ごしらえしたあとにしよう」


笑いながら瞬は帽子を脱ぎ、フライトバッグにかけた。
そのまま、片手で美夏の肩を抱き、歩き始めたのだった。

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