恋するオトコのクリスマス
「当店特製のドゥーブルフロマージュでございます。結婚三周年をお祝いして――藤倉奈子様より承りました」
ふたりは驚いたが……言われてみれば、このホテルも幸福屋グループの傘下だった。
レストラン側はふたりをオーナー一族の関係者とでも思ったのか、ケーキを運んできたのはホール係ではなく、シェフ・パティシエを名乗る若い男性だ。その横にはレストランの支配人もいる。
「あ、わたしが結婚三周年のお祝いも兼ねて、クリスマスディナーに来たって言ったから……気を遣わせてしまったのかも。いただいて、いいのかしら?」
美夏は小さな声で呟く。
瞬も同じことを考えたが、むしろ断ったほうが角が立つだろう。
「ありがたく、いただいておこう――ほら、アーンして」
彼は調子に乗って、フォークですくい美夏に食べさせる。
「メリー・クリスマス、美夏。もっともっと、幸せにする。愛してるよ」
するとお返しとばかり、彼女もフォークでドゥーブルフロマージュをすくい、瞬の前に差し出した。
「瞬の傍にいられるだけで幸せよ。わたしも、愛してる」
ケーキの濃厚なチーズの風味は、情熱的なキスを思わせる甘さだ。
その味わいと美夏の艶笑は、瞬をひと口で降参に追い込み……クリスマスの夜、ふたりをスイートルームに籠もらせたのだった。
~fin~
ふたりは驚いたが……言われてみれば、このホテルも幸福屋グループの傘下だった。
レストラン側はふたりをオーナー一族の関係者とでも思ったのか、ケーキを運んできたのはホール係ではなく、シェフ・パティシエを名乗る若い男性だ。その横にはレストランの支配人もいる。
「あ、わたしが結婚三周年のお祝いも兼ねて、クリスマスディナーに来たって言ったから……気を遣わせてしまったのかも。いただいて、いいのかしら?」
美夏は小さな声で呟く。
瞬も同じことを考えたが、むしろ断ったほうが角が立つだろう。
「ありがたく、いただいておこう――ほら、アーンして」
彼は調子に乗って、フォークですくい美夏に食べさせる。
「メリー・クリスマス、美夏。もっともっと、幸せにする。愛してるよ」
するとお返しとばかり、彼女もフォークでドゥーブルフロマージュをすくい、瞬の前に差し出した。
「瞬の傍にいられるだけで幸せよ。わたしも、愛してる」
ケーキの濃厚なチーズの風味は、情熱的なキスを思わせる甘さだ。
その味わいと美夏の艶笑は、瞬をひと口で降参に追い込み……クリスマスの夜、ふたりをスイートルームに籠もらせたのだった。
~fin~