恋するオトコのクリスマス
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十二月二十六日の早朝――。

高千穂和也は始発で羽田に戻るべく、駅からタクシーでO空港までやって来た。ロビーに足を踏み入れるなり、後ろから声をかけられる。


「おはようございます、高千穂キャプテン」

「ああ、おはようございます。神谷さんも早いですね」


一昨日の夜以上にご機嫌な表情で神谷が立っていた。家族で楽しいクリスマスを過ごしたのは一目瞭然だ。

和也がそんな想像を巡らしていると、神谷がフッと笑った。


「どうかしましたか?」

「いえ、可愛い婚約者さんと楽しいクリスマスを過ごしたんだろうなぁと思いまして。一昨日に比べたら、スキップを踏みそうなほど軽い足取りなので」


同じことを考えていたのだ、と思うと……和也も苦笑を禁じ得ない。 

神谷の言うとおり、いろいろと問題は起きたが、結果的に最高のクリスマスだった。歩美は和也の操縦する便に乗って帰ると言ったが、和也自身が落ちつかないので新幹線を勧めた。

そのとき、ロビーに飾られたクリスマスツリーの横に立つ、ひと組のカップルに目を留める。


「ツリーは今日中に片づけて、次は正月飾りですね」


神谷が隣でポツリと呟く。


「そうですね。でも、まだクリスマス気分のカップルもいるようだ」

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