恋するオトコのクリスマス
~*~*~*~
ホテルのロビーに美夏の姿を見つけた。
彼女は瞬たちより少し年上のカップルと笑顔で話している。
「美夏!」
声をかけると美夏はこちらに気づいた。
彼女はカップルに……主に、女性に頭を下げたあと、瞬のほうに駆け寄ってくる。
女性が瞬に向かって軽く会釈したので、彼も同じように返した。
「遅くなって悪い。あの人たちは……知り合い?」
「幸福屋デパートの相楽……結婚なさったから藤倉GMね。歳は違うんだけど入社時期が同じだったから、わたしが本店で働いていたころは親しくしていただいていたの」
幸福屋グループで“相楽”と言えばオーナー一族のことだ。O市トップの資産家で、その中でもデパートのゼネラルマネージャーといえば、創始者の孫娘だったと覚えている。
「辞めて三年も経つのに、覚えていてくださったみたい」
美夏は声をかけられたことが素直に嬉しかったのか、頬を紅潮させながら話す。
今夜の彼女はクリスマスディナーにふさわしくドレスアップしている。出産前後は髪を肩の長さに切っていたが、最近は結婚前と同じ背中までの長さだ。
「黒のワンピースがセクシーで、人妻に見えなかったんじゃないか?」
「それって褒めてるの? 貶してるの?」
「褒めてるんだって。それで、愛里は? ぐずってなかったか?」
娘のことを尋ねると、美夏もとたんに母親の顔になった。
「ぐずるも何も……従弟のタケルくんと遊んで、じいじやばあばとクリスマスパーティをして、疲れ果てて八時には寝ちゃったわ」
思い出したのかクスクス笑いながら言う。
ホテルのロビーに美夏の姿を見つけた。
彼女は瞬たちより少し年上のカップルと笑顔で話している。
「美夏!」
声をかけると美夏はこちらに気づいた。
彼女はカップルに……主に、女性に頭を下げたあと、瞬のほうに駆け寄ってくる。
女性が瞬に向かって軽く会釈したので、彼も同じように返した。
「遅くなって悪い。あの人たちは……知り合い?」
「幸福屋デパートの相楽……結婚なさったから藤倉GMね。歳は違うんだけど入社時期が同じだったから、わたしが本店で働いていたころは親しくしていただいていたの」
幸福屋グループで“相楽”と言えばオーナー一族のことだ。O市トップの資産家で、その中でもデパートのゼネラルマネージャーといえば、創始者の孫娘だったと覚えている。
「辞めて三年も経つのに、覚えていてくださったみたい」
美夏は声をかけられたことが素直に嬉しかったのか、頬を紅潮させながら話す。
今夜の彼女はクリスマスディナーにふさわしくドレスアップしている。出産前後は髪を肩の長さに切っていたが、最近は結婚前と同じ背中までの長さだ。
「黒のワンピースがセクシーで、人妻に見えなかったんじゃないか?」
「それって褒めてるの? 貶してるの?」
「褒めてるんだって。それで、愛里は? ぐずってなかったか?」
娘のことを尋ねると、美夏もとたんに母親の顔になった。
「ぐずるも何も……従弟のタケルくんと遊んで、じいじやばあばとクリスマスパーティをして、疲れ果てて八時には寝ちゃったわ」
思い出したのかクスクス笑いながら言う。