わたしの想いがとどくように
弥生は走って玄関に行く。すると、やはりいた。長身ですらっとして凄く目立つ。学ランが似合っていた。昔から美人で、いまも綺麗と言う文字が似合う。目ははっきり二重で分かりやすく、少し憂いを帯びている。前髪は目にかかるかかからないかくらいで、後ろは襟足よりもちょっと長く首の真ん中あたりまで伸びている。そんな彼はいつも女子ファンが絶えずにいた。当主(弥生の伯父)の息子で次期当主になる。
「こうだーい!」
弥生は走りながら手を振った。眼鏡をかけて、プリントをもっている。弥生は幸奈が立っているところまでくると、息を整えながらいった。
「おはよ!」
「弥生、同じクラスだった」
幸奈はそういいながら、プリントを渡した。弥生はプリントを見ずに幸奈を見た。
「やった!また一緒!」
弥生は嬉しそうに笑う。すると、車が2人の前で止まった。
弥生よりも長く腰まで伸びた綺麗な黒髪が風邪で揺らされている。フランス人形のように可愛い女の子が出て来た。
「おはようございます」
「美華子!おはよう」
2人の幼馴染みの上宮美華子。相模家と一二を争うほどの上宮財閥のお嬢様で弥生とは反対にお淑やかでいつも皆の雰囲気で微笑んでいるような女の子だ。背も小さく、守ってあげたいと思われるような存在らしい。それは弥生も例外ではなく、美華子のことはいつも守ってきた。
「美華子、教室べつだったー」
弥生は悲しそうな顔をした。美華子も悲しそうな顔をしていた
「多分、弥生の担任はお兄さまなのかも」
美華子の兄は、幸乃の恋人で、ここで現代文の先生をしている。生徒にかなり人気があり、ひっぱりだこでもある。弥生は嬉しそうに笑うと、幸奈と美華子を見比べてにっと笑い、二人の肩をポンと叩く。
「もう教室いくね」
弥生はそう言うと、玄関に入った。美華子はまだ幸奈と話している。弥生はそれをみていた。美華子の顔は恋をしてる顔。幸奈もそんな顔をしている。弥生はそれを見て俯くが、両手で両頬を叩いて笑顔を作る。階段をのぼり、新しい自分の教室に入った。
「弥生、おはよ」
友達が話しかけて来た。
「おはよ!」
「わたしも同じクラスだったよ」
「本当に?やったね!」
「うん、弥生がいるとクラスが明るくなるから、嬉しい!」
弥生はそう言われてにっこり笑った。
教室に行くと、もう1人の幼馴染みである九条曉がいた。九条家は幸奈と幸乃の母が働いている日本1のデザイナー会社だ。中性的な顔立ちで、茶髪にプレミアムショートで、いつも幸奈とならんでも引きを取らない容姿をしている。曉は、デザイナーの才能に長けていて、すでに様々な分野でデザイナーの仕事をしていた。その才能は中学生から認められていて、弥生のためにドレスを用意してくれたこともある。
一人でスケッチブックに向かっている暁に弥生はすぐに話しかけた。
「あーかつき!」
弥生が後ろから押すと、暁は振り返った。
「弥生かよ」
嫌そうな顔をした。
「うわー嫌そうな顔」
弥生が笑うと、暁も笑った。マシュマロのような笑顔だ。暁とは、いつも冗談を言いあっている。おふざけするのは弥生と暁、見守るのは幸奈と美華子と決まっていた。
「美華子だけほかのクラスなんだな」
「暁、残念だったねー」
暁は昔から美華子が好きだった。昔から、弥生は幸奈と美華子と暁の三角関係を知っていた。幸奈を好きな美華子、美華子を好きな暁、幸奈の気持ちはまだはっきりわかっていない。
本当に残念がっえいた。いままで、暁と美華子は1回もはなれたことがなかったのだ。
「まぁ、隣りのクラスだし、休み時間は一緒だし」
「まぁね」
「お前は顔広いから、休み時間一緒なの少ないけどな」
弥生は明るくて人なつっこいので、誰にでも話しかけ、すぐに仲良くなるのだ。高校のほとんどの生徒と面識があり、いつも話しかけられていた。暁と話し終わると、弥生は5列で6席ずつある席の3番目、一番後ろにカバンを置き、座った。女子が集まってくる。弥生は話しながら、じっと机を見ていた。
「…やっぱりこの机ってキャラメルみたいな色してる」
「でた」
「お菓子大好きだもんね、弥生」
「そうだよ」
弥生はにっこり笑う。弥生はいつでも笑顔だった。泣くことがなかった。誰も弥生が泣いたところは見たことがない。小学校からどんなことがあっても弥生は泣かない。弥生が最後に泣いたのは、4歳のころだ。
話していると、幸奈が入って来た。皆が注目する。相模家の当主は昔からそうだ。いるだけで注目される特別な存在だ。
「幸奈、前だよー」
「ああ、サンキュー」
「幸奈は大きいから、わたし、黒板見られないじゃない」
「変わるか?」
「変わらないわよ。だって眠れるし」
弥生はそういうが、本当は違う。幸奈の後ろ姿を見ることが好きだからだ。
幸奈がカバンからペンケースを出そうとすると、弥生の机のそばに座っていた女子が言った。
「そうだ、さっき美華子ちゃんと話してたね、付き合ってるんだよね?いいなぁー」
その言葉で弥生と暁は少し動きが止まった。弥生は確信したくないことを確信してしまった。いままで避けてきたこと。クラス中が沈黙した。弥生は幸奈を見たがどんな表情なのかは見られなかった。
「こうだーい!」
弥生は走りながら手を振った。眼鏡をかけて、プリントをもっている。弥生は幸奈が立っているところまでくると、息を整えながらいった。
「おはよ!」
「弥生、同じクラスだった」
幸奈はそういいながら、プリントを渡した。弥生はプリントを見ずに幸奈を見た。
「やった!また一緒!」
弥生は嬉しそうに笑う。すると、車が2人の前で止まった。
弥生よりも長く腰まで伸びた綺麗な黒髪が風邪で揺らされている。フランス人形のように可愛い女の子が出て来た。
「おはようございます」
「美華子!おはよう」
2人の幼馴染みの上宮美華子。相模家と一二を争うほどの上宮財閥のお嬢様で弥生とは反対にお淑やかでいつも皆の雰囲気で微笑んでいるような女の子だ。背も小さく、守ってあげたいと思われるような存在らしい。それは弥生も例外ではなく、美華子のことはいつも守ってきた。
「美華子、教室べつだったー」
弥生は悲しそうな顔をした。美華子も悲しそうな顔をしていた
「多分、弥生の担任はお兄さまなのかも」
美華子の兄は、幸乃の恋人で、ここで現代文の先生をしている。生徒にかなり人気があり、ひっぱりだこでもある。弥生は嬉しそうに笑うと、幸奈と美華子を見比べてにっと笑い、二人の肩をポンと叩く。
「もう教室いくね」
弥生はそう言うと、玄関に入った。美華子はまだ幸奈と話している。弥生はそれをみていた。美華子の顔は恋をしてる顔。幸奈もそんな顔をしている。弥生はそれを見て俯くが、両手で両頬を叩いて笑顔を作る。階段をのぼり、新しい自分の教室に入った。
「弥生、おはよ」
友達が話しかけて来た。
「おはよ!」
「わたしも同じクラスだったよ」
「本当に?やったね!」
「うん、弥生がいるとクラスが明るくなるから、嬉しい!」
弥生はそう言われてにっこり笑った。
教室に行くと、もう1人の幼馴染みである九条曉がいた。九条家は幸奈と幸乃の母が働いている日本1のデザイナー会社だ。中性的な顔立ちで、茶髪にプレミアムショートで、いつも幸奈とならんでも引きを取らない容姿をしている。曉は、デザイナーの才能に長けていて、すでに様々な分野でデザイナーの仕事をしていた。その才能は中学生から認められていて、弥生のためにドレスを用意してくれたこともある。
一人でスケッチブックに向かっている暁に弥生はすぐに話しかけた。
「あーかつき!」
弥生が後ろから押すと、暁は振り返った。
「弥生かよ」
嫌そうな顔をした。
「うわー嫌そうな顔」
弥生が笑うと、暁も笑った。マシュマロのような笑顔だ。暁とは、いつも冗談を言いあっている。おふざけするのは弥生と暁、見守るのは幸奈と美華子と決まっていた。
「美華子だけほかのクラスなんだな」
「暁、残念だったねー」
暁は昔から美華子が好きだった。昔から、弥生は幸奈と美華子と暁の三角関係を知っていた。幸奈を好きな美華子、美華子を好きな暁、幸奈の気持ちはまだはっきりわかっていない。
本当に残念がっえいた。いままで、暁と美華子は1回もはなれたことがなかったのだ。
「まぁ、隣りのクラスだし、休み時間は一緒だし」
「まぁね」
「お前は顔広いから、休み時間一緒なの少ないけどな」
弥生は明るくて人なつっこいので、誰にでも話しかけ、すぐに仲良くなるのだ。高校のほとんどの生徒と面識があり、いつも話しかけられていた。暁と話し終わると、弥生は5列で6席ずつある席の3番目、一番後ろにカバンを置き、座った。女子が集まってくる。弥生は話しながら、じっと机を見ていた。
「…やっぱりこの机ってキャラメルみたいな色してる」
「でた」
「お菓子大好きだもんね、弥生」
「そうだよ」
弥生はにっこり笑う。弥生はいつでも笑顔だった。泣くことがなかった。誰も弥生が泣いたところは見たことがない。小学校からどんなことがあっても弥生は泣かない。弥生が最後に泣いたのは、4歳のころだ。
話していると、幸奈が入って来た。皆が注目する。相模家の当主は昔からそうだ。いるだけで注目される特別な存在だ。
「幸奈、前だよー」
「ああ、サンキュー」
「幸奈は大きいから、わたし、黒板見られないじゃない」
「変わるか?」
「変わらないわよ。だって眠れるし」
弥生はそういうが、本当は違う。幸奈の後ろ姿を見ることが好きだからだ。
幸奈がカバンからペンケースを出そうとすると、弥生の机のそばに座っていた女子が言った。
「そうだ、さっき美華子ちゃんと話してたね、付き合ってるんだよね?いいなぁー」
その言葉で弥生と暁は少し動きが止まった。弥生は確信したくないことを確信してしまった。いままで避けてきたこと。クラス中が沈黙した。弥生は幸奈を見たがどんな表情なのかは見られなかった。