わたしの想いがとどくように
お昼に弥生は、美華子の教室にいった。

「みかこー!」

笑顔でそう呼ぶと、皆が振り返る。ショートカットになったのに、みんなが見ている。話しかけて来る。

「髪の毛切ったの?!」

「そうよー、これ評判が良いのだから!」

「似合う!可愛いー!っていうか、もー教室に遊びに来てっていってるじゃんかー」

1人が弥生の腕を掴む。弥生は笑顔だった。
羨ましくなるくらいの輝く笑顔だった。なんで、弥生はこんなに明るいんだろう。辛い時も皆を笑顔にするんだろう。美華子は、お弁当を持って弥生のそばに行くと、弥生はすぐに美華子の手を掴んだ。そして、にっと笑って教室から出る。階段で上がるときも、弥生は話しかけられた。
後輩でさえもだ。

「相模先輩!」

「こんにちわー」

「弥生、いつ後輩と仲良くなったの?」

「んー、なんかいろいろかな?覚えてないや」

弥生は笑った。庭園に着くと、弥生はベンチに座った。美華子は弥生にエスコートして貰い、ベンチに座った。弥生はすぐにお弁当を開けて食べ始めた。

「弥生は凄いね、いつも周りは弥生と同じ表情になる」

「…そうかな?」

「うん…」

美華子は俯いた。幸奈だって、なんで私を選んだんだろう?弥生がこんなに素敵なのに…

「私、出来ること何もない…」

美華子は俯いてそう言った。弥生は少し考えてから、怒り口調で言った。

「美華子の魅力なんていっぱいあるでしょ!!可愛い、お淑やか、気配り上手、私のいうこと笑ってくれる、静かに相手に合わせる、女の子らしい、華道、茶道は凄く上手、勉強出来る、髪が長くて綺麗だし、おっとりしてて、皆本当に美華子が可愛くて仕方ないし、魅力的だから、モテるし」

弥生はまだまだあげられるようだ。美華子は笑った。こんなに弥生は見てるんだと思った。

「もう良いよ」

美華子が笑うと、弥生は悲しい顔をして美華子をみた。

「だから、自信を無くさないでよ…」

弥生は切実にそう思った。だって、美華子は幸奈に愛されてる。女の子として、幸奈が大事に思っている。自分には一生出来ないこと。美華子が自分のせいで自信を無くすことなんかあってはいけない。


「美華子は、気にすることなんかないんだよ。美華子が好きな幸奈は、美華子にも出せるのに、美華子が気付いてないだけだもん」

「本当に?」

「爆笑とかはね、今日のは友達としてならいくらだって出せるもん。そう言うのじゃなくて、もっと良い顔を出せるよ!」

弥生は笑いかけた。パクパクと食べる。弥生はいつもなんでも美味しそうに食べる。

「私ね、幸奈は弥生が好きだと思ってた」

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