忘れ物常習犯。
そんなことを考えながら私はため息をつき、仲田を睨む。だけど、泣きそうな仲田を見るとどうしても助けたくなる。
「…、分かったわよ。」
と、私は渋々机をくっつけた。と、同時に仲田を見ると、パァっと眩しいほどの笑顔だ。なんなんだ、犬みたいに可愛いなこのやろう。
「ありがとう!七瀬!」
ガシッと肩を掴まれる。うん、痛い。私、女子だよ、ねぇ、女子。…なんて、目線を送っても鈍感なこいつが気づくわけない。
「別に、後、離して。」
そう言うと、「あ、ごめん」っとそっと離してくれた。私は筆箱をとる為に、下を向く。
……本当は、仲田が好きなんだから逆に毎日忘れてほしい。なんて、思ってほしいと思ってる私は凄く悪い。バカみたい、話しかけてくれるから、忘れてほしいなんて。
あれ、でもなんでこんなに忘れ物をするんだろう。こいつは毎日、明日の持ち物を確認しているのをよく見る。
「まず、なんで毎日忘れ物するの?あんた、毎日持ち物確認してるじゃない。」
私は、筆箱をいじりながら聞く。
「ん?なるよ?」
凄く軽い言い方だった。私の血管、浮き出たんじゃないかしら。私は、横目で仲田を見た。
そんな仲田は、口笛を吹きながらご機嫌に何かを書いている。こいつは、何故か絵が上手い。謎に上手だ。