水泳のお時間
「瀬戸くんの家って……?」


わ、わたしが…?


思ってもいなかった瀬戸くんの言葉に、いつの間にか涙は止まっていて。


そのままポカンと口を開けるわたしに、瀬戸くんはフッと微笑んだ。


「プールに入れなくても練習は出来るから」

「そ、そうなの…?」


何も分からないわたしは瀬戸くんの家で一体、何の練習をするのか想像もつかなくて

瀬戸くんを見上げたまま、ただただポカンとしていた。


…す、すごい。

プールに入らなくても練習って出来るんだ…。

でも、どうやって…?


「イヤ?」


ふとそんなことを考えていたら瀬戸くんに顔を覗きこまれてしまった。

瀬戸くんのその甘い眼差しに、わたしは急いで首をフルフルと横にふると

真っ赤な顔をして何度も頷いてみせる。


「そ、そんなことないですっ、うれしいです…っ」


わたしの言葉に瀬戸くんが静かに微笑んだ気がした。


何も知らないわたしはその微笑みにさえ、単純にときめいてしまう。


…プールに入れなくなってしまったことは確かにすごくショックだった。

でもそれがきっかけで瀬戸くんの家へ行ける事になるなんて。

夢を見てるみたいだよ。

嬉しい!!
< 109 / 300 >

この作品をシェア

pagetop