水泳のお時間
5時間目
「…ごちそうさま」
瀬戸くんとお別れした、その日の夕食。
とりあえずテーブルの椅子に座り、手を合わせるものの
結局、お皿に盛られたおかずにほとんど手を付けられないまま、箸を置いてしまったわたしに
向かいに座っていたお母さんが動かしていた口を止めて、キョトンと顔をあげた。
「あら。知鶴どうしたの?全然食べてないじゃない」
「なんか、食欲出なくて…」
「この前もそんな事言って全然食べなかったじゃない。…何だか少し痩せた気がするし、どこか具合悪いの?」
そう言って、わたしの体を心配してくれる母。
だけどわたしはとっさに首を横にふると、小さく笑ってみせた。
「ううん違うの、大丈夫。…ごはん残しちゃってごめんね。残ったおかずは、明日の朝食べるから」
わたしはそう言って、静かに手を合わせると
残してしまったおかずにラップをかけ、冷蔵庫の中にしまった。
そしてリビングのドアを開けようとしたところで、後ろをふりかえる。
「あ、あのお母さん…」
「なに?」
「えっと明日はいつもよりその…遅くなるけど、し、心配しないでね…」
わたしの言葉に、お母さんは一瞬ポカンとしたけれど
すぐに微笑んでうなずいてくれた。
「そう。わかったわ。くれぐれもマキちゃん達に迷惑かけないようにね」
「う、うん…っ。それじゃあおやすみなさいっ」
その会う相手がいつもの女友達ではなく、本当は“男の人”なんて言えず
わたしは逃げるようにリビングを飛び出すと、階段をかけあがった。
瀬戸くんとお別れした、その日の夕食。
とりあえずテーブルの椅子に座り、手を合わせるものの
結局、お皿に盛られたおかずにほとんど手を付けられないまま、箸を置いてしまったわたしに
向かいに座っていたお母さんが動かしていた口を止めて、キョトンと顔をあげた。
「あら。知鶴どうしたの?全然食べてないじゃない」
「なんか、食欲出なくて…」
「この前もそんな事言って全然食べなかったじゃない。…何だか少し痩せた気がするし、どこか具合悪いの?」
そう言って、わたしの体を心配してくれる母。
だけどわたしはとっさに首を横にふると、小さく笑ってみせた。
「ううん違うの、大丈夫。…ごはん残しちゃってごめんね。残ったおかずは、明日の朝食べるから」
わたしはそう言って、静かに手を合わせると
残してしまったおかずにラップをかけ、冷蔵庫の中にしまった。
そしてリビングのドアを開けようとしたところで、後ろをふりかえる。
「あ、あのお母さん…」
「なに?」
「えっと明日はいつもよりその…遅くなるけど、し、心配しないでね…」
わたしの言葉に、お母さんは一瞬ポカンとしたけれど
すぐに微笑んでうなずいてくれた。
「そう。わかったわ。くれぐれもマキちゃん達に迷惑かけないようにね」
「う、うん…っ。それじゃあおやすみなさいっ」
その会う相手がいつもの女友達ではなく、本当は“男の人”なんて言えず
わたしは逃げるようにリビングを飛び出すと、階段をかけあがった。