水泳のお時間
「せ、瀬戸くん…あ、あの…わたし、一人でも大丈夫です。だから…」


おろして、おろしてください…!


突然の出来事に、わたしの頭はすっかりパンク状態。


とにかく恥ずかしくて、こんな姿見られなくて

体は今も抱きかかえられたままアタフタしていたら、瀬戸くんが厳しい顔をしてわたしを見た。


「一人でも大丈夫だって?…なら桐谷はどうしてさっき溺れかけた?」

「えっ…そ、それは…」


瀬戸くんの言葉に、わたしはとたんに動揺してしまう。


…どうしよう。

だってわたし、どうして自分が溺れかけたかなんて

今までそんなこと、一度だって考えたことなかった。


突然の質問と、そして目の前に写る瀬戸くんの厳しい表情に戸惑い、言葉が出てこない。


そのまま答えに詰まっていたら、瀬戸くんの口元から大きなため息が落ちた。


「それは桐谷の腰が折れているから。これじゃ水に沈むのは当たり前だろ?」

「きゃっ…?!」


そう言って、瀬戸くんはわたしの沈んだ腰をグイと持ち上げた。


指導中とは言え、敏感な場所に瀬戸くんの手が触れ、体がビクンと反応してしまう。
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