水泳のお時間
「…?!せ、瀬戸く…っ?!」


するととつぜん、瀬戸くんはわたしを強引に引きよせたかと思うと、

わたしの後ろ髪をかきあげ、うなじに顔を近づけてきた。


その瞬間、わたしはビックリして目を見ひらく。


「えっ…?あ、あの…っ」


瀬戸くん、なにしてるの…?!


顔を真っ赤にさせて慌てるわたしの言うことも聞かずに、

瀬戸くんはわたしの首に顔を傾けて埋めたまま、何度も唇をおしつけてくる。


そしてそれはまるで次第にエスカレートしていくように、首筋から鎖骨、胸へとおりてきて…


ふいにその場所を優しくなめられた瞬間、わたしの肩が上下に大きく揺れた。


「!…いっ…」


瀬戸くんの唇がわたしの肌に優しくかみつき、押さえつけながら、

きつく皮膚を吸い上げる。


するとすぐに血が中で滲むような痛みが走って、わたしは唇をかみしめた。


「…っ…」


息の仕方が分からなくなるくらい、呼吸が上手に出来なくて、胸が小刻みにふるえる。


まるで体中の熱が、そこに集中したように、痛くて、あつくて。


わたしの胸元に顔を埋めたまま、何度も肌を吸いあげる瀬戸くんを見て、また息が苦しくなった。


…い、痛い。

この痛み、昨日小野くんにされたのと、同じ…。

同じだけど、同じなのに…でも違う。


クラクラする頭の中、そのわけを探し、必死に意識を保とうとするけれど

瀬戸くんの吐息がわたしの肌にかかって何度もくすぐるから、

また息が出来なくなって、ドキドキと苦しくて


わたしは瀬戸くんの背中に両手でしがみついたまま、

瀬戸くんが唇を離してくれるまで、ひたすら目を押し閉じて、ジッとしていた。
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