水泳のお時間
11時間目
あれから、自分はどうやって学校を出たのか、よく覚えていない。
気がつくと、自分の家の前に立ち尽くし、放心していた。
それでもわたしの手には今も、大切な人からもらった黒いゴーグルが握りしめられていて、
無意識に頬から流れ落ちた小さな雫が、それを冷たく濡らした。
「……」
“その感情は、前に進もうとしている桐谷を阻むものでしかないから。捨てることにした”
泳いでもいないのに、息がつまっているような気がして。
水の中を潜っているわけでもないのに、出口を見つけられずに、
ここから永遠に出られないような気がして。
…まるで、溺れているみたいだと思った。
気がつくと、自分の家の前に立ち尽くし、放心していた。
それでもわたしの手には今も、大切な人からもらった黒いゴーグルが握りしめられていて、
無意識に頬から流れ落ちた小さな雫が、それを冷たく濡らした。
「……」
“その感情は、前に進もうとしている桐谷を阻むものでしかないから。捨てることにした”
泳いでもいないのに、息がつまっているような気がして。
水の中を潜っているわけでもないのに、出口を見つけられずに、
ここから永遠に出られないような気がして。
…まるで、溺れているみたいだと思った。