水泳のお時間
12時間目
始まりがあるから、終わりが来るのなら。
終わりが来るからこそ、また始まりがあるのだとも思う。
去年までのわたしは、何か一つでも失うのが怖くて、下を向いたまま動けずに、背中を丸め、
胸にきつく握りしめた手を離すことが、ずっと出来ずにいたけど…
たとえ失っても、失った分だけ、また新たに得られるものはきっとあるって…
今はそう思うから。
だから今度こそ、わたしはこの手を離し、胸を張って歩き出し…サヨナラをする。
一人で泳ぐことが出来なかった自分へ。
今まで遠くから見ていることしか出来なかった自分へ。
…そして水泳の時間に。