水泳のお時間
「うん。いいアイデアだね。それにしようか」

「…!は、はい!」

「ただ、それだけじゃまだ物足りないな。クロールを50にするのはどう?」

「!ご、50…ですか?」

「平・背泳ぎは25に、クロールは往復50の、つまり三種目合わせて100メートル」


そっちの方がキリもいいしね。と、

澄ました笑顔で淡々と話を進めていく瀬戸くんに、わたしの顔は目が点になったまま戻らない。


…ひゃ、100メートル…?って…

瀬戸くん、本当に?


きっと他の人だったら、100メートル泳ぐということは、

ここまで驚くほど難しい事ではないのかもしれない。


けれど今まで溺れてばかりで、最近になってようやくコツを掴めるようになれただけのわたしにとって、

100メートルという距離は未知の数字で…そして遠い。


わたしに、できるかな…?
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