水泳のお時間
「桐谷もこーゆーの着たりするんだ」

「!…これは…その…」

「照れてるの?自分から着てきたくせに」


瀬戸くんの少し意地悪な指先がわたしの首筋を撫でてくる。

急いで結わいてきたせいか遅れ毛が少し垂れてしまっていて


それを瀬戸くんの指先で遊ばれながら、ふとわたしの耳元に聞こえたのは

今まで聞いたことも無いような瀬戸くんの甘く掠れた声。


「このヒモ…外していい?」

「あ、はい…。って、えっ?!」


その言葉を聞いた時にはもう瀬戸くんはヒモの先に手を伸ばしていて、結び目を緩めようとしていた。


その瞬間、わたしはハッとする。


えっ、えぇっ?!ま、待って…!

瀬戸くん!!
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