折れたピアスはあたしたちみたいで。
ーーーーーーーーーーーーー四ヶ月前
四ヶ月前俺は、その時も美紅の事が好きだった。
でもその美紅は、千歳先輩とやらに強い憧れを抱いていた。
ある日美紅は千歳先輩に告白された。
昼休みに千歳先輩は教室にやってきて、美紅を呼び出した。
教室を二人で出て行った時、梨菜は泣きそうな顔をしていた。
(好きなんだな、きっと)
直感的にそう思った。
二人の背中が見えなくなって、梨菜は下を向きながら弁当を食べなかった。
俺は、本当は好きなのに強がって悲しくないふりをして弁当を食べ続けた。
いつもは恋愛事に冷めてる美紅は、教室に戻ってきた時顔が赤かった。
(ああ、やっぱ、告白されたんだ)
「どう...だった、の...??」
声を震わせながら梨菜は美紅と目を合わさずに聞いた。
美紅は恥ずかしそうに下を向いていたからその様子には気付かなった。
ゆっくりと口を開いて、
「告白...されちゃった」
どんどん顔は赤くなっていった。
「おーけーした?」
俺は無意識に聞いていた。
「もう!したってばっ」
涙目で顔を赤くして睨みながら言った。
その顔をいつもなら可愛いと思いもう一度見たいと思うのに今は見たくなかった。
「キス、されちゃったっ」
ふふふふふ、そう笑いながら笑顔で言った。
美紅を憎いと思ったのはこれが初めてだった。
(俺のほうが千歳先輩より好きなのに)
その気持ちが強かった。
梨菜は一生懸命笑顔を作ってトイレに行った。