折れたピアスはあたしたちみたいで。
でも、今日早起きができて朝イチで教室にやってきたとき梨菜と千歳先輩はキスしていた。
千歳先輩は美紅と別れたからいいはずなのに、違う女とキスしていて安心するはずなのに、ものすごくいらいらした。
「朝っぱらからなにしてんだよ」
気づいたら喋っていた。
梨菜は顔を真っ青にして千歳先輩に抱きついた。
すると千歳先輩は梨菜を抱きしめた。
(ああ、愛し合っているんだ)
(俺、梨菜の事好きになり始めてたのに)
その時気づいた。
梨菜の事が好きだと。
梨菜と一緒にいる時間が増えて楽しく思ってたんだ、と。
今、気づいたんだ。
(遅かったな、俺)
俺はもう教室を後にしていた。
自販機に向かって歩いた。
冬なのに冷たいレモンティーがあってそれを買って飲んだ。
冷たすぎる。
でもその冷たさがのどを冷やしてスッキリさせてくれた。
(あ、美紅)
あの現場を美紅が見たら泣くだろう。
(もうついてるよな...!)
走って教室に向かった。
人だかりが出来ていた。
その中に美紅がいた。
挨拶をしていた。
(まだ、見てないな)
「美紅っっ、来るなっ」
美紅と一瞬目があったけどその目は好奇心に溢れていた。
(...あ、美紅は人一倍好奇心に溢れる...)
やばい、と思った時。
運悪く千歳先輩と梨菜がキスしていて。
しかもする直前美紅と千歳先輩は目があった。
「美紅っ」
美紅は口を抑えて走りだした。
追いかけたくても人だかりが邪魔だ。
Uターンして廊下を走った。
するといきおい良く誰かにあたって誰かと見ると美紅だった。
泣いていた。
なぜか俺は抱きしめた。
そして今起こったこと、梨菜は先輩が好きだったこと、全てを話した。