甘い言葉で
「あゆみ、どうしたの?」
サチが後ろから声をかけてくれた。
「あ、何でもないさ。すまないね......」
「あゆみって、おじいちゃん子だっけ?ほんと、いつの時代の人かと思う受け答えが帰ってくるから笑えるよ」
サチと美幸に笑われてしまった......
「ほんと、あゆみって見た目にそぐわぬ三枚目だよね」
「お?お嬢さん方に誉められるったぁ嬉しい限りだねぇ~」
ちょこっと大袈裟に期待に沿ってみた。
そしたらもう、二人は
『また始まった』
と、笑ってくれる。
あたしにとっては、まだまだ女友達とばか騒ぎしてる方が性に合ってるよ。
「はい、つぎ!そこの三人娘」
塾長があたしたちを呼ぶ。
「はーい、今行きます!」
サチが返事をしてくれる。
あたしも足元に置いた荷物を肩に担ぐ。
と、その時近くに居た人にぶつかった。
「あ、ごめんなさい」
慌てて振り向き頭を下げる。
「大丈夫だよ。俺もよそ見してたからさ。お互い様」
優しい声が聞こえてきて、ちょっとホッとした。
「柚希くん、どうしたの?」
「あ、なんでもないよ」
「なにこの子、柚希くんにぶつかってきたの?」
「いいから、向こう行けよ。おまえらに関係ない」
............なにやらお姉さま方の怒りを買ってしまいましたか?
あたしってば......やっちゃった?