甘い言葉で


「え?タローちゃんって誰?」


そんな人知らないってば。
って顔したら、サチがまだバスに乗っていない塾長と1番年上のグループだろうと思われるお兄さんお姉さん達を指差す。


「あそこで塾長と話をしてる兄ちゃん達いるでしょ?その中の白いシャツ着た人がタローちゃん。同じ団地に住む兄ちゃんなんだよ」


あたしも窓に引っ付いてその団体さんを見る。
ん?さっき、あたしがぶつかった兄ちゃんは黒いTシャツだったよな?


「サチ、違うよ。そのタローちゃんって人じゃない。その隣にいる黒いTシャツの兄ちゃんとぶつかったの」


あたしがそう言うと、驚いたのは美幸。


「え?あのシャツの人?やだ!カッコいい!」


サチも『どれどれどいつだ~』なんて目を凝らしてる。


「あ、あれね。確かゆっくんだよ。見たことある。会話はしたことないかな。昔からのタローちゃんの友達でね。まぁ、確かにイケメンかも。あたしはタローちゃんの方がタイプだけどね」


あたしは興味ないよ。あなた方のタイプなんて.........


「タローちゃんってあゆみと身長変わらないくらいだけど、ゆっくんならいいんじゃない?結構背が高いし」


「は?」


ちょいと、サチさん?
なんの話ですかい。
誰と誰がいいんです?
お付き合い始めるんですか?


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