甘い言葉で


「今年の道は、緑が結構生い茂ってるね」


なんて言いながら、あたしの左隣を歩き出したユズくん。
その後ろにはサチと美幸が歩いてる。
何故に二人はあたしの後ろを歩くのですか?やはり、怖さが勝ちましたか?


「まぁ、そうだね。道幅が狭いと葉っぱとぶつかるね」


取り合えず、会話しなくちゃね。
ちらっとユズくんの横顔を見たら、こっちを向いていて笑顔で見つめられた。


『何故にあたしに笑顔を振り撒く?何の特もないでしょ?』
と、思うあたしはおかしいですか?
サチと美幸は怖いのか2人でキャーキャー騒いでる。


『これくらいで騒いで可愛いねぇ......』
なんてチラッと後ろを見てまた前を向いたとき、あたしの右肩に手が乗り、そっと左に引き寄せられた。


「え?」


と、言うあたしの声なんて聞こえていないのかユズくんはそしらぬ顔。


ん?この手、ユズくんのでしょ?
何故に知らんぷりですか?
後ろの2人はあたしのことなんて眼中になし。
暗さと怖さで騒いでます。
しかも、サチはあたしの服引っ張ってるし......美幸は前を歩くユズくんの服を引っ張ってる。


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