甘い言葉で


柚希side―――――――



「おいユズ、お前誰と組むんだ?肝試し」


塾長が説明している時、隣に居たタローが耳打ちしてきた。


「別に、1人でも良いし、お前と歩いても良いしな」



俺は特に気にすることもなくそういった。
が、タローにとっては気に入らない返答だったらしい。


「はぁ?ナニ言ってんだよ!あゆみちゃんと行けよ!気合い入れてお前自身をアピールしてこい!吊り橋効果的なやつでもしかしたらもしかするぞ?」


タロー.........お前、ナニ考えてんだよ?
俺は呆れて溜め息1つ。


「あ、溜め息つくと幸せが1つ逃げるぜ?」


タロー......何が言いたいんだよ!


「折角再開したんだ。思いでの1つでも作ろうぜ?あゆみちゃんも肝試し苦手かもしれないぜ?」



『ちょっと肩を寄せて、並んで歩いたら......ドキドキして、恋の1つでも生まれるかもな?......俺の方がドキドキだよ』


なんて1人盛り上がるタローをよそに、俺も少し考えてみる。
彼女の気持ちもあるだろうけど、一緒に肝試し出来たら俺にとっても記念だよな。
そうだよ、思い出だよ思い出。


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