甘い言葉で
あたしが言葉を探していると
「ゆっくんのこと?」
「さ、サチ?」
「え?進展あったの?」
「そう。あれ?美幸、聞いてない?進展あったから、話そうとしてるんだよ。ま、わたしはタローちゃんから軽くきいただけ......なんだけど、まさかあの兄ちゃんがゆっくんだったとはね。世間は狭いわ~」
ニカッと笑ったサチは再び荷造りを開始。
サチの言葉に驚いた美幸は
「ヤダッ!おめでと!イケメンゲットだね!よし、私も戻ったら頑張るぞ!」
自分の事のように喜んでくれた。
美幸も狙ってたんでしょ?ユズくんのこと。
「あ、うん。ありがと。確かにユズくんはそうかもしれないけど......それだけじゃないから.........」
「お?もうのろけですかい?暑いねえ~今年の夏はエアコン効かなくなったら困るねえ~」
サチのつっこみにあたしの動きは止まる。
そろそろ止めてもらわないと......いつどこでお姉さま方に聞かれるかわかんないよ?
「恥ずかしいのでそれくらいに!ダラダラしてると集合時間に遅れるよ?」
あたしが注意してやっとこさ。
もう本当に時間ないんだからね!
あたしは最後の荷物を鞄に詰め込んでチャックを閉めた。
「はいはーい!了解です!」
サチはそう言って、おふざけで敬礼した。