甘い言葉で
まだまだ続きそうな雰囲気を止めたのはやっぱりユズくんで.........
「あゆみは俺が昔助けた姫サンなんだ。お前達みたいな裏表のあるヤツとは比べもんにならないくらい可愛いんだよ!」
お姉さま達を黙らせる為なのかユズくんが
あたしの顎に指をかけて持ち上げると、ユズくんの唇があたしのと重なった。
リップ音がしたときにはもう離れていて
「俺たち、再開して恋人の時間が始まったばかりなんだ。邪魔するヤツは誰であろうと許さねぇからな」
程よく怒りのこもったユズくんの低い声が響いた。
もちろん、お姉さまのすすり泣く声も聞こえます。
ちょっとヤバイ雰囲気ですか?
「おい、なにやってるんだ?」
その空気を変えたのがこの声。
あたし達のやり取りで陽一さんがバンガローから出てきた。
喧嘩してると思ったのかな?
「陽一さん、すみません。何でもないんです。ただ、彼女達に俺とあゆみが付き合うことになったと報告してるだけですので」
「は?柚希、お前、ソレ自慢か?」
「陽一さん、失礼ですね.........ね、あゆみ?」
「恥ずかしいから.........同意を求めないでよ.........」
あたしが陽一さんの方をみると
「え?あゆみちゃん、やっとユズ兄ィと付き合うの?」
トモキ君がいつの間にかあたし達のすぐ傍まで駆け寄ってきた。
「え?は?トモキ君?何いってるの?」
「照れなくていいぜ?よかったな!ユズ兄ィ」
もう、これじゃあ公開報告みたいじゃん!
恥ずかしさなんて普段の三倍も五倍もあるよ!
「あゆみちゃんのことは俺が守るからね」
優しい笑顔と言葉をかけてくれたら何も言えなくなっちゃう。
あたしの欲しい言葉をすぐ言ってくれるなんて......ユズくんの策士。
こうやって、あたしとユズくんとの恋が始まった。