甘い言葉で
10 甘い言葉を
ユズくんが夏のキャンプで交際宣言をして始まったあたし達の恋。
2つ違いのあたし達は学校も違うし、あたしが受験生ってこともあるのでデートはもっぱら塾帰り。
休みの日は図書館に行ったりしてるけど、年明けまではあたしが遊びたくない。
ユズくんは、そんなあたしの考えを尊重してくれる頼りになる彼氏。
大変だけど、幸せ。
残りの夏休みも塾とユズくんとのお勉強タイムに費やした。
そんなある日のこと。
「あゆみ切れで......俺、死にそう」
「え?あたし切れ?そんなの知らない。それよりこの問題なんだけどね?」
あたしが問題集を広げてユズくんに質問するとユズくんは机に突っ伏した。
「あゆみ切れで教えられない......申し訳ない......」
「ち、ちょっとユズくん?」
「エネルギー補給......エネルギー補給......」
今日は夏休み最終週。
あたしの部屋で勉強中、甘えん坊ユズくんに変身して困りました。
「エネルギー......」
「ちょっとユズくん!寝ないでよっ!起きてって。もぅ、この問題教えてほしいのに......」
机に突っ伏したままのユズくんの隣に移動して肩を揺する。
ユズくんも勉強大変なのかな?
持ってきた勉強道具は、ノートにあたしの知らない記号がたくさんあった。