甘い言葉で


あたしの身体をギュッと強く抱き締めてくれる。ユズくんがそう言ってくれるだけで受験頑張れるよ。


「あゆみ......」


「ん?」


ユズくんの声が柔らかく聞こえる。
あたし、この声好きだな.........


「俺さ、早くあゆみのこと迎えに来れるように頑張るわ」


「え?迎えに来る?」


あたしの頭には?マークが飛んでますよ。お出掛けの時には別にお迎えなくてもいいんだけどね?待ち合わせで十分です。


「そ。いつか迎えに来るまで、ちゃんと俺のとなりに居ろよ?」


ん?
あたし、考えがおかしかったですかね?
ま、聞いてみますか。


「ユズくん、隣にいるのに迎えに来るの?」


「......ホントに経験値ないんだな。ま、そこも可愛いけど」


そう言いながらユズくんは引っ付いたままのあたしをそっと剥がして、きっと真っ赤になってるあたしの顔を覗いてきた。


両手で頬を包まれて、身体も視線も逃げられないようにユズくんの視線があたしを捕らえる。


うわっ、ヤバイ。ドキドキしてきた。


< 86 / 101 >

この作品をシェア

pagetop