甘い言葉で
「ゆ......ユズくん?」
心配になってきたあたしは攻撃をやめて、ユズくんの頬から手を離した。
やっぱり、怒っちゃった?
ジーっとユズくんを見つめるけど、微笑んでるのかわかんない微妙な顔してるし......
「ユズくん、なんか言ってよ......」
ユズくんの胸をトントン叩いてもなにも言わない。
.........なんで?
「ユズくん......」
ゆっくりとユズくんの首に抱きついて、すり寄った。
ユズくんの首もとでスリスリすると、ユズくんの身体が震えているのがわかった。
「ククククッ.........」
あれ?
ユズくん、笑いを堪えてる?
「うん、いいね。あゆみを笑顔にできるのも、泣かせるのも.........俺の特権」
「ユズくん......?」
え?なんなの?
ユズくんだけ納得してるし!
あたしの頭の中だけ理解できていないよね?何が足りない?やっぱり、経験値?
もう!わかるようにって.........きっと、恋してる子ならわかるんだろうね。
女子なのに、こういうところは女子じゃないね......あたしって。
「あゆみ......」
「な~にっ?」
優しく名前を呼ばれても、さっきの悲しかった気持ちはなくならないんだからね!
ふてくされた声で返事しちゃった。
「ククククッ......やっぱ可愛いわ。俺、あゆみが好きだわ。もう手放せないね」