甘い言葉で
ん?
ユズくん......おしりの方に宛がった手は、モゾモゾ動いてませんか?
あたしが眉間にシワを寄せはじめて、そっと身体を離したら
「自転車を必死に漕いだら疲れちゃってさ。もう、あゆみ切れで動けなくなりそうだったから助かったよ」
『チュッ』リップ音がして触れるだけのキスをされた。
驚いて目を見開くと『もう一回!』と唇を挟むようにキスされた。
「ち、ちょっとユズくん?」
あたしがちょっと強めに言ってもなんにも気にしないユズくんは
「始めに引っ付いてきたのはあゆみでしょ?そのお礼も兼ねてエネルギー補給しただけなのに、なぜ怒られるの?」
おでこを合わせて可愛くおねだりのような目線をあたしに向けてくる。
『くそぅ!何故年上ヤローなのにこんなにも可愛いんだ!』
あたしの心は叫んでいた。
「もぅ、神社に行くんでしょ?早く行こ?合格祈願したいしさ」
ユズくんから離れて自転車に乗ろうとしたのに、手を捕まれて阻まれた。
「あゆみ、もう一回。......足りない」
今度はこめかみにキスされた。
「ごちそうさま。今年は良いことだらけかもね~」
なんて、ニコニコ笑顔のユズくんがあたしの頬を撫でてる。
ユズくん......あたしも良いこと起きそうですけど?もうね、心臓ドキドキしてますわ。
「ほら、もう行こ!」
「はいはい。お姫様のご機嫌とりは難しいねぇ~」