甘い言葉で


自転車を走らせて数分。
地元の神社に到着。いつもは静かな神社なのに今日は程よくに人が集まってます。


ここの神社はとある有名な作家さんが携わったおもしろ恋みくじが小さな人気を呼んでいて、あたしもやってみようかなって小銭を確認した。


出たくじに書いてある言葉が面白おかしくて人気らしいの。
初めてだから、どんな言葉が出てくるのか楽しみでもある。
まずは普通に神様にお参り。


『昨年はユズくんと巡り会わせてくれて感謝します。受験に関しては、自分で出来ることは全てやりきりました。夢に向かって進むためにも是非合格出来ますように!』


二礼二拍一礼してごあいさつ。
住所と名前を始めに伝えてからお願い事をした。
あたしんち、仏教なのに大事なときに神頼みって、きっと変だよね......


終わってから隣に立つユズくんを見た。
まだ手を合わせてお願い事をしている。
後ろの人の邪魔にもなるかと思ってそっと横にずれてユズくんを待った。


あたしもユズくんも背が高いから、こういうときは役に立つよね。人混みからピョコっとはみ出た頭を探せば良いんだからさ。


暫し待つと、ユズくんも隣に居ないあたしを探してくれてる。顔がこっちを向いたときに手をふってあたしの存在を知らせる。
すぐ笑顔になってあたしの傍まで駆け寄ってくれる。


あっ!
これ、幸せかも。
好きな人があたし目掛けて走りよってくれるの。愛されてるって感じるね。
やだ、きっとあたしの顔赤いかも.........。


「あゆみ、受験生なのにお願い事早かったね。もっと長いかと思ったよ」


「そうかな?こんなもんじゃない?神様もたくさんの人のお願い事を聞かないといけないし、だらだら唱えてると神様も疲れちゃうでしょ?」


手袋してるけど、ユズくんと手を繋ぐ。
次の目的地であるおみくじの方へ足を向ける。


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