甘い言葉で
「もういいや。ユズくんの大吉運、隣に居たら少し分けてもらえるよね?」
ユズくんの胸におみくじを返して俯いた。ヤバイぞ.........悔しくなってきた。
泣かないって約束したから踏ん張れあたし!
「ほらね、あゆみ泣くと思ったんだよな」
「な......泣いてないもんね!」
「俺には分かるの。心で泣いてます。俺が傍にいるのに泣くってどうなの?彼氏の前では笑顔でいるのが約束だろ?」
そっと抱き寄せてあたしの頭を撫でてくれる。その手が優しくて余計に泣けてきちゃうんだよ。ユズくん、分かってよね!
「あゆみ?」
「なにさ」
「待ち人が来ないってさ、もうあゆみが傍にいるから来ないんじゃねーの?あゆみがこれからもずっと俺の隣に居るならさ、来る必要ないじゃん。ね?」
あ、なるほど。そういう解釈ですか?
あたしって考えが浅いわね。文面通り取り込んでたね。読み取らないとダメだ。
受験生、なん足る失敗......
凹んだ気持ちが恥ずかしくて、未だユズくんの胸に顔を埋めたまま。
「まぁ。そんな早とちりのあゆみが大好きで堪らないので、幸せオーラ一杯な俺に大吉が出ても仕方がないよね?」
なんだかすごい理屈だよね。
納得しちゃったあたしがいますよ......
照れてしまう言葉をあれこれ並べられるとこのままの体勢から動けません。
真っ赤になってるあたしの顔なんて見せれません。
「はい、納得しましたか?愛しの我が姫君」
左頬に添わせたユズくんの右手があたしの顔をクイッと上に向かせてきた。
そうなると、もちろん視線が重なる。
つまり、逃げられなくなる。
と、いうことは......
「.........納得、しました」
認めなきゃいけないわけで.........
ニヤリとしたユズくんの顔がちょっとドキリとしたんのは内緒だけど
「はい、勝手に心配して凹んだ罰ね」