WiSΗ

「まじチャラ男じゃん!」

教室に響き渡る。

あたしは
眠たい目をこすり
みんなの視線の方を向く。

「鈴村。」

黒くてかっこいい帽子を
ちょこっと
のせてる鈴村がいた。

その帽子は
横側にピンクで
何かかかれてた。

だけど
それを見るほど
余裕なんてない。

あたしは
またすぐに
机に伏せた。

―バシ

あたしは
顔を机にぶつけた。

鈴村があたしの机を
蹴ったから。

勢いでつい…

「ばーか。」

鈴村の背中に向かって
つぶやく。

ふと思い出した言葉。


鈴村は
本気でJリーガーになりたいんだよ。

あいつは本当にプロ目指してる。


あたし
邪魔しちゃいけない。

何だか胸の奥が
急に痛くなって。

出てきそうな涙を
こらえた。

そして
鈴村にふさわしいのは
あたしじゃない。





学校に行くのは
今日を入れて
あと3日。

学校も早く終わる。

教室から出て
廊下を歩いてるとき

「常川!」

振り向くと
帽子をかぶった鈴村。

「俺も常川行くよ。」

「鈴村帽子やばい。」

隣にいた遥子が
鈴村に突っ込む。

やばいって
どういう意味?

って思って
つい笑ってしまった。

「梶山だけ殺すー!」

笑いながら
言う鈴村。

「本当に常川いく?」

「俺は行きたい。」

また
胸の奥が痛くなって
あたしって
恋してるんだって
思った。

だけどそれは
叶うはずのない恋。


友達の好きな人。



そして、





友達の彼氏。
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