WiSΗ

「お兄ちゃん。」

気づけば
お兄ちゃんの腕の中。

「どっした?」

今日は
たった1時間の授業。

授業といっても
全校生徒が
体育館に集まって
冬休みの過ごし方についての
話を聞くだけ。

別にその時間は
よかった。

だけど
朝。

あのとき…

声をかけていなかったら。

「おはー。友里亜。」

「おっ!おはー!」

教室には
友里亜がいた。

友里亜が見ていたのは
教室の後ろに張られた
カレンダー。

それは
4組の生徒が
3学期の日課を書いた紙。

1日一枚ずつ
みんなが頑張って作った。

「あいつのは?」

「多分、2月17日らへん。」

「あいつの字みたい。」

にっこりほほえむ友里亜。

胸が痛む。

「美優ちゃんおはよ。」

「おはよ」

山ちゃんがきて…

「美優ちゃんのどれ?」

「1月17日だよ。」

胸が
張り裂けそうだった。
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