WiSΗ
―バシ
叩かれてるのは
あたし。
「やめてー!」
お母さんと
健人が
叫ぶ。
「練習も言うこと聞かずにやるから!」
お父さんは
気が狂ったように
あたしを叩く。
「常学がお前を誘ったのは健人のおかげだぞ!お前の実力じゃない!」
え?
健人の
おかげ…?
「健人がうまかったからお前はついでだ!」
「お父さん!!」
嘘でしょ?
そんなわけないよ。
いくらたたかれても
泣かずに我慢してきたあたし。
だけど
さすがに涙が漏れた。
「髪も長くて邪魔なんだよ!きれ!」
引っ張られる髪。
「いつもおまえのせいでバラバラになっておまえのせいで俺らが後ろ指指されるんだよ!」
それ
どういう意味よ?
「そんなことない!」
「だまれ!」
お母さん。
そうだよね。
そんなことないよね。
ショックすぎて
もう話は
聞き取れなくて…。
試合は
練習よりは
よくなったけど
1打差で負けて
3位だった。
「よく頑張ったね。」
お母さんが言うけど
あたしは
頑張ってない。
「明日髪きる。」
そういって
車に乗り込んだ。
もう
どうなったっていいから。
寝る前に
お母さんに
こそっと言われた。
「お父さん、自分の言ったことでスコアがよくなってよかったって。」
あたしは
無視した。
うざい。
何だよ、それ。
まじ
キモいから。