WiSΗ
第八章 不良
「ねぇ。あたしあの人が好きなんだ。」
友達が
窓の外を指差して言う。
友達っていっても
1つ下何だけどね。
「名前何だっけ?話したことないや。」
「良介だよー。」
「白石って人?」
「うん。」
友達が
肩をトントンって
叩いてきた。
『ヤバい。』
『何が?』
口パクで話す。
友達は
窓の外を指差した。
白石がこっちに
向かってきてた。
―トントン
部屋が
ノックされる。
「なに?」
友達の声が
急に高くなって
緊張してるのが
伝わってきた。
恋してるんだって。
好きなんだって。
「美優。ごはんだって。」
あたしたちは
白石の後ろをついていった。
女子は
中学生が3人と
高校生が1人。
みんなためなんだけどね。
ずっと
友達の目は
白石だった。
何しているときも。
あたしが見たことのない
きらきらした目で
話してた。
幸せなんだろうなって
感じた。
友達は
先輩と先に部屋に戻った。
「ねぇ。髪きった?」
「今頃?」
話しかけてきたのは
白石で。
ってかため口かよって
ショック受ける自分がいる。
「うん今頃。」
「あっそ。」
友達を思うと
つい冷たくしちゃう。
笑顔で話してくる
白石は
なんだか可愛くて。
友達が
好きそうなタイプだなって
思った。
「部屋戻る?」
「うん。」
友達と一緒に席を立ったとき
「俺もかえろ。」
結局
一緒に帰るみたいに
なってしまった。
部屋といっても
小屋みたいで
出入り口は1つなんだけど
そこから
2つの部屋に分かれてる。
その部屋に
ベッドが2つあるみたいな…。
「ただいまあ!」
だけど
いなくて…。
お風呂にもいなかった。