WiSΗ
たどり着いたのは
海だった。
海は嵐のように
うねっていた。
風も強くなっていて。
誰1人もいなかった。
海は
あたしのようだった。
車のブレーキの音がした。
「美優?!」
反射的に振り返ってしまった。
そこにいたのは
お兄ちゃんだった。
必死で走った。
走っても走っても
前に進めなかった。
お兄ちゃんに腕を
捕まれていたから。
お兄ちゃんが優しくあたしを包んだ。
「やめて!!」
お兄ちゃんの腕を振り払った。
「どうしたの?帰ろ?」
なぜ優しくするの?
「あたしは本当の妹じゃないんでしょ?ほっといてよ!」
お兄ちゃんは黙ったままだった。
「お兄ちゃんだってあたしのこと邪魔なんでしょ?」
―バシッ
叩かれた。
その部分を触ると
温かかった。
「美優は俺の妹だ。風邪ひいても知らないぞ?」
いつもの笑顔で微笑んでくれた。
「ごめんなさい。」
お兄ちゃんは
よろしい
っていって
車にのせてくれた。