WiSΗ

あたしを
見てよ。

葵ちゃんと
話してる鈴村は
幸せそうだよ

ならさ
最初から
葵ちゃんと
仲良くしてたら
よかったじゃん。

あたし
期待しちゃったし。

もしかしたらって。

今日の社会の授業。

あたしの隣に
いるはずの鈴村は
葵ちゃんの席の隣にいた。

鈴村が
座った席の人は
あたしの隣に。

そんなに
あたし
キライ?

そんなに
葵ちゃん
すき?

「リップー!」

「待てってー!」

鈴村愛用の
リップクリームが
葵ちゃんの手に渡って

葵ちゃんの唇に
触れた。

それを見て
ほかの女子も
鈴村のリップクリームを
求めた。

山ちゃんは
遠くから
それを見ていた。

あたしは
ゆっくりと
机に伏せた。

ゆっくりと
目をつぶった。

葵ちゃんと
はなした後の鈴村は
いつも
ルンルン気分。

あたしって
バカだ。


鈴村こうき

電話帳を一件
削除しますか?

yes

削除しました。


また
鈴村のデータが
なくなった。

早く幸せになってよ。

あたしだって
負けないくらい
幸せになってやるから。
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