WiSΗ

「美優。リビングにこい。」

お父さんが部屋に入ってきた。

「はい。」

嫌な予感がする。

お父さんは
あたしたちのゴルフのコーチ。
一応ね…


リビングのドアを開ける。

目にうつったのは
泣いている健人だった。

「どうしたん!」

お兄ちゃん。

心の中で
呼んだ。

「お前らばか姉弟はゴルフやる資格はない!」

なんできれてるん?

「やめろ。」

聞きたくない言葉。

なんで急に?

「なんで?ワケわかんない。」

パニックだって自分でも
わかった。

なんで健人は泣いてるの?

「お金もかかるし、下手だしばかやん。うまいならまだしも…」

えっ?
ど…言うこと?



理解できない。

「態度も悪いし。言うこともきかん。」

あたしたちの愚痴を
いい始めた。

いつ終わるの?

それだけを
思ってた。

「県ジュニアが最後だ。」

あたしの方に近付いてくる。

なに?

こないで。

―バシ

あたしが…

叩かれたの…?

「何すんのよ!!最低!」

いい捨て
部屋に戻った。
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