WiSΗ
「あんときの美優ら楽しそうだったー」
「楽しくなんかないし!」
「美優がちょくちょく相談きてたのあいつだろ?」
あちゃー。
気付くの遅かった。
やっぱりあたしって
ばか?
それとも
お兄ちゃんが天才?
「カップルみたいだったー!!」
「そんなこと言わないで!」
「あいつ彼女いんだろ?」
―グッ
あたしの心には
何かが刺さった。
そして
そこから
ひびわれ
砕け散る。
「そだよ。可愛い子!!」
あたしは
好きじゃない。
いつものあたしに
戻ってよ…。
「それじゃなんで美優と親しいんだよ…」
「えっ」
あたし
お兄ちゃんの言ってる意味
分かんないよ。
「あいつさ彼女と仲いいの?」
「当たり前ー!!ラブラブだよー」
手に汗が…
心臓の音が聞こえる。
「本当か?」
「…うん。」
変な間があいてしまった。
お兄ちゃんは
何かを考えていた。
あたしは
窓から見える月をみてた。
満月でも
三日月にもなりきれない
月だった。