初恋prime
日宮「あっ、あのね
   僕、ここ最近可笑しいんだ。」

ドキンドキン

綾音「あたしも、なんか変なんだ。」

ドキンドキン

日宮「最近、笹山さんを見るたびに鼓動が   高まって。」

綾音「えっ……?」

日宮「でも、ようやく分かったんだ。」

綾音「何を…?」

私は、恐る恐る聞いてみた。

日宮「僕、やっぱり、笹山さんが
   笹山さんが……。」

……………………。

ドキンドキンドキン

日宮「好きみたいなんだ……」

頬を赤らめて、手を握りしめる彼を見て

私は、目を背け酷いことを言ってしまった。

綾音「先の言葉で期待でもしたの?
   ばっかみたい!
   誰があんたみたいな冴えない男に
   惚れなきゃいけないのよっ!」

バッ!

手も勢いよく振りはなった

タッタッタッ  ガラッ!

綾音「何やってんだよ………。馬鹿………。」

グスン、グスン

ここで振り返ったら負ける。

そんな思いで保健室を飛び出してきた。

教室には安奈がいた。

安奈「綾!もぉ~何処行ってたのよ~」

綾音「…………。」

安奈「綾…?どうしたの!?」

綾音「何でもない……。」

安奈「何でもなくないでしょ!?
   自分の顔よく見てみなよ!」

鏡を目の前にして

泣いている自分の姿を見た。

綾音「なんで、泣いてるの……?」

安奈「それは、こっちが聞きたいよ。」

綾音「何でもないから、心配しないで」

安奈「綾音、怒るよ?
   またそうやって自分だけで抱え込も   うとするの?」

綾音「そんなんじゃないよ!人には、人に   言えない悩みあるんだから!
   安奈に何がわかるの!?」

安奈「…………。綾音には、絶望したわ。」

綾音「はっ!?何が」

安奈「それじゃあ、綾音が約束事破ってる   ようなもんじゃん。」

綾音「そうだけど。どうしても安奈や他の   誰かには聞かれてほしくない悩みな   の。ごめん。」

安奈「何それ。私はちゃんと言ったのに
   自分がその立場になると言わないと   か……。
   どんだけ自分勝手なの……。」

綾音「それは、その………。」

安奈「もう良い。綾なんて知らない。」

綾音「安奈……!」

トコトコ。

大切な友達まで傷つけてしまった。

最低な人間だ。

学校が終わり私は、一人で家に帰ろうと
していたとき……。   
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